水槽のガラス面や水草に緑や茶色の汚れが付着して、『このコケは何?どう対処すればいいの?』と悩んでいませんか?アクアリウムに発生するコケは主に10種類あり、それぞれ特徴や除去方法が異なります。この記事では、色・形状・発生場所から正確に見分ける方法と、種類別の具体的な対策を徹底解説します。コケの正体を知れば、美しい水景を取り戻すことができます。
水槽に発生するコケは主に10種類|名称一覧と早見表

アクアリウムに発生するコケは、見た目や性質によって大きく10種類に分類されます。
初心者の方は『全部同じ緑色に見える』と感じるかもしれませんが、実際には色・形状・発生場所が異なり、それぞれに適した対策があります。
まずは全体像を把握して、自分の水槽に発生しているコケがどれに該当するか特定しましょう。
正確な種類の特定が、効果的なコケ対策の第一歩です。
コケ10種類の名称一覧
アクアリウムで発生する代表的なコケは以下の10種類です。
- 茶ゴケ(珪藻):立ち上げ初期に多い茶色の膜状コケ
- 緑藻:ガラス面や水草に付く最も一般的な緑色のコケ
- 黒髭ゴケ(紅藻類):除去が困難な黒〜灰色の房状コケ
- アオミドロ:水草を覆う細長い糸状の緑コケ
- 藍藻(シアノバクテリア):悪臭を放つ青緑色のドロッとしたコケ
- 斑点状藻:ガラス面に点在する緑の斑点
- 糸状藻:水草の葉先に付く細く短い緑の糸
- サンゴ状藻:硬い質感で枝分かれした灰緑色のコケ
- ガラス面緑藻:ガラス全体が緑色に曇るコケ
- 水カビ(真菌類):流木や残餌に発生する白い綿状の付着物
これらは生物学的には藻類、細菌、真菌など異なる分類に属しますが、アクアリウムでは総称して『コケ』と呼ばれます。
それぞれ発生原因や対処法が大きく異なるため、正確な識別が重要です。
【早見表】色・形状・発生場所で見分けるコケ種類マトリクス
視覚的にコケを素早く特定するために、3つの要素を組み合わせた早見表を用意しました。
| コケの種類 | 色 | 形状 | 主な発生場所 |
|---|---|---|---|
| 茶ゴケ | 茶色 | 膜状 | ガラス面・底床・水草 |
| 緑藻 | 緑色 | 膜状・糸状 | ガラス面・石 |
| 黒髭ゴケ | 黒〜灰色 | 房状・ヒゲ状 | 水草の葉・流木・石 |
| アオミドロ | 明るい緑 | 長い糸状 | 水草全体 |
| 藍藻 | 青緑色 | ドロッとした膜状 | 底床表面・水草 |
| 斑点状藻 | 濃い緑 | 斑点状 | ガラス面・葉の表面 |
| 糸状藻 | 緑色 | 細く短い糸状 | 水草の葉先 |
| サンゴ状藻 | 灰緑色 | 枝分かれ・硬質 | 流木・石 |
| ガラス面緑藻 | 緑色 | 微細な膜状 | ガラス面全体 |
| 水カビ | 白色 | 綿状 | 流木・残餌・枯れた水草 |
この表を使えば、『ガラス面に茶色の膜状のもの→茶ゴケ』『水草に黒い房状のもの→黒髭ゴケ』というように、見た目から迅速に種類を特定できます。
特定後は、該当する対策セクションで詳しい除去方法を確認してください。
アクアリウムのコケを正確に見分ける3つのポイント

コケを誤認せず正確に識別するには、3つの観察ポイントを順番にチェックすることが重要です。
多くの初心者は『緑色だから全部同じコケ』と判断しがちですが、実際には細かな違いがあり、対策方法も全く異なります。
色→形状→発生場所の順に観察することで、10種類のコケを正確に見分けることができます。
ここでは、プロのアクアリストも実践している識別方法を具体的に解説します。
ポイント①|色で判別する(茶・緑・黒・青緑)
コケの色は最も基本的で分かりやすい識別要素です。
茶色系のコケは、主に茶ゴケ(珪藻)を指します。
水槽立ち上げから1〜3週間の初期段階で、ガラス面や底床に茶色い粉のような膜が広がるのが特徴です。
指でこすると簡単に取れますが、放置すると厚みを増していきます。
緑色系のコケは最も種類が多く、明るい緑から濃い緑まで幅があります。
明るい黄緑色で糸状に伸びるものはアオミドロ、濃い緑色の斑点状のものは斑点状藻、ガラス面全体を薄く覆う緑はガラス面緑藻です。
黒〜灰色系のコケは、ほぼ黒髭ゴケに限定されます。
実際には黒ではなく濃い赤紫色(紅藻類)ですが、水中では黒く見えるのが特徴です。
房状やヒゲ状に成長し、水草の葉の縁や流木の表面に強固に付着します。
青緑色系で独特の臭いがするものは藍藻です。
これは実際には藻類ではなくシアノバクテリアという細菌の一種で、ドロッとした質感とカビ臭い悪臭が判別の決め手になります。
白色の綿状のものは水カビで、これは真菌類(カビ)なのでコケとは生物学的に異なりますが、アクアリウムでは同様に扱われます。
ポイント②|形状で判別する(膜状・糸状・斑点状・房状)
色だけでは判別できない場合、形状が決定的な手がかりになります。
膜状のコケは、表面を薄く覆うように広がるタイプです。
茶ゴケやガラス面緑藻、藍藻がこれに該当します。
指やスクレーパーでこすると、シート状に剥がれるのが特徴です。
糸状のコケは、細長く伸びるタイプで、長さによってさらに分類できます。
5cm以上の長い糸状に成長するものはアオミドロ、1cm以下の短い糸状のものは糸状藻です。
アオミドロは水草全体を覆うように絡みつき、糸状藻は水草の葉先にピンポイントで付着します。
斑点状のコケは、点々と散らばるように発生します。
ガラス面に濃い緑色の小さな斑点が無数に付着する斑点状藻が代表的で、スクレーパーでもなかなか取れない硬さがあります。
房状・ヒゲ状のコケは、黒髭ゴケ特有の形状です。
短い毛が密集して房のように見え、水流でゆらゆら揺れる様子が特徴的です。
触ると硬く、引っ張っても簡単には取れません。
枝分かれ状の硬いコケはサンゴ状藻で、石灰質を含むため非常に硬く、物理的に削り取るしかありません。
綿状のふわふわしたものは水カビで、流木や残餌に白い綿のように付着します。
ポイント③|発生場所で判別する(ガラス面・水草・流木・底床)
コケの種類によって、発生しやすい場所に傾向があります。
ガラス面に発生しやすいコケは、茶ゴケ、ガラス面緑藻、斑点状藻です。
特に照明が直接当たる前面ガラスに集中的に発生します。
茶ゴケは全面に均一に広がり、斑点状藻は点々と分布するので見分けられます。
水草に発生しやすいコケは、黒髭ゴケ、アオミドロ、糸状藻です。
黒髭ゴケは葉の縁や古い葉に集中し、アオミドロは水草全体を覆うように絡みつき、糸状藻は新芽や葉先にピンポイントで付着します。
流木や石に発生しやすいコケは、黒髭ゴケ、サンゴ状藻、水カビです。
特に水流が当たる場所や、栄養が豊富な場所に集中します。
黒髭ゴケは水流の強い場所、水カビは新しい流木や有機物が残っている場所に発生します。
底床表面に発生しやすいコケは、茶ゴケと藍藻です。
藍藻は特に水流が弱く、有機物が溜まりやすい場所にドロッとした膜を形成します。
独特の悪臭があるため、臭いでも判別可能です。
【完全図鑑】アクアリウムに発生するコケ10種類の特徴・原因・対策

ここからは、各コケの詳細な特徴と、具体的な除去方法・予防策を1つずつ解説していきます。
それぞれのコケには最適な対処法があり、間違った方法では効果が出ないばかりか、水草や生体にダメージを与えることもあります。
自分の水槽に発生しているコケを特定したら、該当するセクションを熟読して、正しい対策を実行してください。
①茶ゴケ(珪藻)|立ち上げ初期に発生する茶色の膜状コケ
茶ゴケは、水槽立ち上げ初期の1〜3週間に最も発生しやすいコケです。
正式には珪藻(けいそう)と呼ばれ、茶色い粉のような膜状でガラス面、底床、水草の表面に広がります。
発生原因は、水槽内の生物ろ過がまだ確立されていない『立ち上げ初期の水質不安定』と『ケイ酸塩の過剰』です。
新しいソイルや砂利にはケイ酸塩が含まれており、これが茶ゴケの栄養源となります。
また、照明時間が長すぎる(1日10時間以上)場合も発生が促進されます。
除去方法は、物理的な除去とコケ取り生体の導入が効果的です。
- スポンジやスクレーパーでガラス面をこすり取る(簡単に取れる)
- オトシンクルスや石巻貝などのコケ取り生体を導入する
- 週1回の1/3程度の水換えでケイ酸塩を排出する
- 照明時間を1日6〜8時間に制限する
茶ゴケは『一時的なもの』であり、水槽が成熟すると自然に収まることが多いため、過度に心配する必要はありません。
ただし、放置すると厚みを増して見た目が悪化するため、定期的に除去しましょう。
予防策としては、立ち上げ初期から照明時間を抑え、週1回の水換えを徹底することが重要です。
②緑藻(糸状緑藻・ガラス面緑藻)|最も一般的な緑色のコケ
緑藻は、アクアリウムで最も頻繁に見られるコケで、ガラス面や石、水草に緑色の膜や糸状の形態で発生します。
大きく分けてガラス面緑藻(膜状)と糸状緑藻の2タイプがあります。
発生原因は、照明の過剰と栄養塩(窒素・リン酸)の蓄積です。
照明時間が1日8時間を超える場合や、直射日光が当たる場所に水槽を設置している場合に発生しやすくなります。
また、餌の与えすぎや水換え不足で栄養塩が蓄積すると、緑藻が爆発的に増殖します。
除去方法は、発生場所とタイプによって使い分けます。
- ガラス面緑藻:スクレーパーやメラミンスポンジでこすり取る
- 糸状緑藻:歯ブラシに絡めて巻き取る、ピンセットで摘み取る
- ヤマトヌマエビやミナミヌマエビを導入する(糸状緑藻に効果大)
- プレコやオトシンクルスを導入する(ガラス面緑藻に効果大)
緑藻は完全に除去するのは難しく、ある程度の発生は自然なことです。
重要なのは『増えすぎないように管理する』という発想です。
予防策は、照明時間を1日6〜8時間に制限し、週1回の水換えで栄養塩をリセットすることです。
また、水草を健全に育てることで、水草が栄養を吸収してコケの発生を抑制できます。
③黒髭ゴケ(紅藻類)|除去が難しい黒〜灰色の房状コケ
黒髭ゴケは、アクアリストが最も苦戦するコケの1つです。
実際には紅藻類に分類され、濃い赤紫色ですが水中では黒く見えます。
房状やヒゲ状に成長し、水草の葉の縁、流木、石、フィルターの吸水口など、水流が当たる場所に強固に付着します。
発生原因は、水流の偏りとCO2不足です。
黒髭ゴケは他のコケと異なり、水流が強い場所を好む特性があります。
フィルターの吹き出し口付近や、水流が集中する場所に発生しやすいのはこのためです。
また、CO2が不足して水草の成長が悪い環境では、黒髭ゴケが優位になります。
除去方法は、物理的除去と化学的処理を組み合わせます。
- 付着した水草の葉をカットする(最も確実)
- 流木や石を取り出して木酢液や熱湯で処理する
- サイアミーズフライングフォックスを導入する(黒髭ゴケを食べる数少ない生体)
- グルタルアルデヒド系のコケ除去剤を使用する(水草への影響に注意)
- スポイトで木酢液を直接塗布する(局所的な処理)
黒髭ゴケは一度発生すると完全除去が難しいため、『発生させない予防』が最も重要です。
予防策としては、水流を均一にして停滞域を作らない、CO2添加で水草を健全に育てる、水換えを定期的に行うことが効果的です。
特にCO2添加は、水草水槽において黒髭ゴケ予防の最大のポイントです。

⑥斑点状藻(スポット状緑藻)|ガラス面に点在する緑の斑点
斑点状藻は、ガラス面や水草の葉に濃い緑色の小さな斑点として発生します。
別名スポット状緑藻とも呼ばれ、1〜3mm程度の円形の斑点が無数に点在するのが特徴です。
非常に硬く、スクレーパーでも削り取るのに力が必要です。
発生原因は、照明の過剰とリン酸の蓄積です。
特に強力なLED照明を長時間使用している水槽や、直射日光が当たる場所で発生しやすくなります。
また、水換え不足でリン酸が蓄積すると、斑点状藻が増殖します。
除去方法は、物理的な削り取りが基本です。
- スクレーパーで力を入れて削り取る(ガラス面)
- メラミンスポンジでこする(ガラス面)
- 石巻貝やカノコ貝を導入する(時間はかかるが効果的)
- 水草の葉に付いた場合は葉をカットする
斑点状藻は非常に硬いため、生体だけでの除去は時間がかかります。
スクレーパーで定期的に削り取りつつ、貝類に継続的に食べてもらうのが現実的です。
予防策は、照明時間を短縮し、週1回の水換えでリン酸を排出することです。
照明を1日6時間以下に制限すると、新たな発生を大幅に抑制できます。
⑦糸状藻|水草の葉先に付着する細く短い緑の糸
糸状藻は、水草の葉先や新芽に細く短い緑色の糸状に付着するコケです。
長さは0.5〜1cm程度で、アオミドロよりも短く、ピンポイントで発生するのが特徴です。
特に成長の早い有茎草の新芽に集中的に発生します。
発生原因は、栄養バランスの崩れと微量元素の不足です。
窒素やリン酸は十分なのに、鉄分やマグネシウムなどの微量元素が不足すると、水草の成長が阻害され、糸状藻が優位になります。
また、CO2が不安定な環境でも発生しやすくなります。
除去方法は、手作業と生体の組み合わせが効果的です。
- ピンセットで摘み取る(水草を傷めないように注意)
- 付着した葉先をカットする
- ヤマトヌマエビを導入する(積極的に食べる)
- 微量元素を含む液体肥料を適量添加する
糸状藻は新芽に集中するため、定期的なトリミング時に付着部分をカットすることで、効率的に除去できます。
予防策は、バランスの取れた施肥とCO2の安定供給です。
窒素・リン酸だけでなく、鉄分やマグネシウムなどの微量元素も適切に補給し、水草を健全に育てることが重要です。
⑧サンゴ状藻(枝分かれ状藻)|硬い質感で枝分かれした灰緑色のコケ
サンゴ状藻は、灰緑色で枝分かれした硬い質感のコケです。
石灰質(炭酸カルシウム)を含むため、触ると硬く、まるでサンゴのような見た目をしています。
主に流木や石の表面に発生し、成長は遅いですが非常に除去しにくいコケです。
発生原因は、高硬度の水質とカルシウムの過剰です。
硬水(GH・KHが高い)環境や、サンゴ砂を使用している水槽で発生しやすくなります。
また、照明が強すぎる場合も発生が促進されます。
除去方法は、物理的な削り取りが唯一の方法です。
- 金属製のスクレーパーで力を入れて削る
- 流木ごと取り出して削る、または酸性溶液(クエン酸など)で溶かす
- 硬すぎる場合は該当部分をカットする
サンゴ状藻は石灰質を含むため、生体では食べられません。
物理的に削り取るしかないため、発生初期の小さいうちに対処することが重要です。
予防策は、水質を弱酸性〜中性に保つことです。
ソイルを使用して水質を安定させ、硬度を上げる素材(サンゴ砂、牡蠣殻など)を使用しないことで、発生を抑制できます。
⑨ガラス面緑藻|ガラス全体が緑色に曇るコケ
ガラス面緑藻は、ガラス全体を薄く覆う微細な緑色の膜状コケです。
初期段階では薄い緑色の曇りのように見えますが、放置すると厚みを増し、視界を大きく妨げます。
特に照明が直接当たる前面ガラスに集中的に発生します。
発生原因は、照明の過剰と栄養塩の蓄積です。
照明時間が長すぎる(1日8時間以上)場合や、直射日光が当たる場所に水槽を設置している場合に発生しやすくなります。
また、水換え不足で窒素やリン酸が蓄積すると、ガラス面緑藻が急速に広がります。
除去方法は、定期的な物理清掃と生体の活用です。
- スクレーパーで週1〜2回こすり取る
- メラミンスポンジでガラス面を拭く
- オトシンクルスやプレコを導入する(常時清掃してくれる)
- 石巻貝を導入する(ゆっくりだが確実に食べる)
ガラス面緑藻は完全に防ぐことは難しいため、『週1回の清掃習慣』を作ることが現実的です。
水換えのタイミングでガラス面も一緒に清掃すると効率的です。
予防策は、照明時間を1日6〜8時間に制限し、直射日光を避けることです。
また、週1回の水換えで栄養塩をリセットし、水草を健全に育てることで、コケの発生を抑制できます。
参考:AQUALASSIC – コケを撲滅せよ!種類別のコケ除去方法・対策
⑩水カビ(真菌類)|流木や残餌に発生する白い綿状の付着物
水カビは、厳密にはコケではなく真菌類(カビ)です。
白色の綿状でふわふわした見た目をしており、流木、残餌、枯れた水草、魚の傷口などに発生します。
見た目が不気味で、魚の病気を引き起こすこともあるため、早期の対処が必要です。
発生原因は、有機物の存在と水質の悪化です。
新しい流木にはアクが残っており、これが水カビの栄養源となります。
また、餌の食べ残しや魚の死骸、枯れた水草などの有機物が水中にあると、水カビが発生しやすくなります。
魚の体表に傷があると、そこに水カビが付着して『水カビ病』を引き起こすこともあります。
除去方法は、発生源の除去と水質改善です。
- 流木を取り出して熱湯消毒する、または数週間アク抜きする
- 残餌や枯れた水草を速やかに除去する
- 水換えを行って水質を改善する
- エビ類(ヤマトヌマエビ、ミナミヌマエビ)が水カビを食べることがある
- 魚の水カビ病の場合は専用の薬剤で治療する
新しい流木の水カビは『一時的なもの』で、アクが抜けると自然に収まることが多いです。
ただし、見た目が悪く、水質にも悪影響を与えるため、取り出して熱湯消毒することをおすすめします。
予防策は、流木の事前アク抜きと餌の適正化です。
新しい流木は導入前に1〜2週間煮沸またはアク抜きし、餌は2〜3分で食べきる量に抑えることで、水カビの発生を防げます。
アクアリウムにコケが発生する5つの根本原因

コケを効果的に対策するには、発生メカニズムを理解することが不可欠です。
コケは『水槽環境の不均衡』を示すサインであり、単に除去するだけでは根本解決になりません。
ここでは、コケが発生する5つの根本原因を解説し、どう改善すべきかを明確にします。
原因①|光量・照明時間の過多
コケ発生の最大の原因は、照明の過剰です。
照明時間が長すぎる(1日10時間以上)場合や、照明が強すぎる場合、光合成を行うコケが爆発的に増殖します。
特にLED照明は従来の蛍光灯より強力なため、時間管理がより重要です。
また、窓際に水槽を置いて直射日光が当たる環境では、照明を点けていなくてもコケが大量発生します。
直射日光は照明の何倍もの光量があるため、水槽は必ず直射日光の当たらない場所に設置してください。
適切な照明時間の目安は、水草水槽で1日6〜8時間、魚だけの水槽で1日4〜6時間です。
タイマーを使って照明時間を厳密に管理することで、コケの発生を大幅に抑制できます。
『照明を長く点ければ水草がよく育つ』という考えは誤りで、むしろコケを増やす原因になります。
原因②|栄養塩(窒素・リン酸)の蓄積
水槽内の栄養塩(窒素・リン酸)の蓄積は、コケの栄養源となります。
これらの栄養塩は、魚の排泄物、餌の食べ残し、枯れた水草などの有機物が分解されて生成されます。
水換えを怠ると、窒素やリン酸が高濃度になり、コケが優位になる環境が整います。
餌の与えすぎは栄養塩蓄積の主要因です。
『魚が可愛いからたくさん餌をあげたい』という気持ちは分かりますが、食べ残した餌は水質を急速に悪化させます。
餌は2〜3分で食べきる量を1日1〜2回与えるのが適量です。
また、過密飼育も栄養塩蓄積の原因です。
魚の数が多すぎると、排泄物の量も増え、ろ過能力を超えて栄養塩が蓄積します。
60cm水槽であれば小型魚20〜30匹程度が適正な飼育数です。
対策としては、週1回の1/3〜1/2の水換えを徹底し、餌の量を適正化し、飼育数を見直すことが重要です。
原因③|CO2不足と水草の成長不良
水草が健全に育っている水槽では、水草が栄養を吸収するため、コケの発生が抑制されます。
逆に、水草の成長が悪いとコケが優位になります。
水草の成長に最も重要なのがCO2(二酸化炭素)です。
水草は光合成にCO2を必要としますが、水槽内のCO2濃度は自然状態では不足しがちです。
特に有茎草や前景草を育てる場合、CO2添加はほぼ必須です。
CO2が不足すると、水草の成長が停滞し、栄養を吸収しきれなくなった結果、余った栄養をコケが利用します。
特に黒髭ゴケは、CO2不足の環境で優位になる代表的なコケです。
対策としては、CO2添加システムを導入するか、CO2を必要としない丈夫な水草(アヌビアス、ミクロソリウムなど)を選ぶことです。
また、照明とCO2のバランスが重要で、『強い照明+CO2なし』の組み合わせは最悪で、コケが爆発的に増えます。
原因④|ろ過能力不足・水質の不安定
ろ過能力の不足は、水質を不安定にし、コケ発生の温床となります。
フィルターが小さすぎる、ろ材が汚れている、メンテナンス不足などの状態では、有機物や栄養塩が分解・除去されず、水中に蓄積します。
フィルター選びの目安は、水槽サイズに対して『余裕を持った容量』を選ぶことです。
60cm水槽なら60L対応ではなく、75〜90L対応のフィルターを選ぶことで、ろ過能力に余裕が生まれます。
また、ろ材の定期メンテナンスも重要です。
ろ材が目詰まりすると、水の流れが悪くなり、ろ過効率が低下します。
スポンジは月1回、生物ろ材は3〜6ヶ月に1回、飼育水で軽くすすぐことで、ろ過能力を維持できます。
立ち上げ初期は生物ろ過(バクテリア)がまだ確立されていないため、水質が不安定でコケが発生しやすい時期です。
この時期は特に照明時間を短くし、水換え頻度を増やして対応しましょう。
原因⑤|水流の偏りと停滞
水流の偏りは、特定のコケ(黒髭ゴケ、藍藻)の発生原因となります。
水槽内に水流の強い場所と停滞する場所が混在すると、それぞれに適したコケが発生します。
黒髭ゴケは水流の強い場所を好み、フィルターの吹き出し口付近や水流が集中する場所に発生します。
対策としては、吹き出し口の向きを調整して水流を分散させ、特定の場所に強い水流が集中しないようにします。
藍藻は逆に、水流が弱く停滞している場所を好みます。
底床の隅や水草の陰など、水が動かない場所に集中的に発生します。
対策としては、エアレーションを追加したり、サブフィルターを設置したりして、水槽全体に緩やかな水流を作ります。
理想的な水流は、水槽全体に緩やかで均一な流れがあり、停滞域がない状態です。
ただし、水流が強すぎると魚がストレスを感じるため、バランスが重要です。
参考:スペクトラムブランズ – これだけ抑えれば大丈夫!水槽のコケの対策方法4選
【種類別】コケに有効な対策と生体の対応表

コケ対策には、物理的・化学的な除去に加えて、生物的防除(コケ取り生体)が非常に有効です。
コケ取り生体は、24時間体制でコケを食べ続けてくれるため、人間が手作業で除去するよりも効率的です。
ただし、生体によって得意なコケと苦手なコケがあるため、適切な組み合わせを選ぶことが重要です。
コケ種類×有効生体の早見表
コケの種類ごとに、効果的な生体をまとめました。
| コケの種類 | 特に効果的な生体 | 補助的に有効な生体 |
|---|---|---|
| 茶ゴケ | オトシンクルス、石巻貝 | プレコ、カノコ貝 |
| 緑藻(ガラス面) | プレコ、オトシンクルス | 石巻貝、カノコ貝 |
| 緑藻(糸状) | ヤマトヌマエビ、モーリー | ミナミヌマエビ |
| 黒髭ゴケ | サイアミーズフライングフォックス | (生体での完全除去は困難) |
| アオミドロ | ヤマトヌマエビ、モーリー | ミナミヌマエビ |
| 藍藻 | (生体では効果なし) | — |
| 斑点状藻 | 石巻貝、カノコ貝 | オトシンクルス |
| 糸状藻 | ヤマトヌマエビ | ミナミヌマエビ |
| サンゴ状藻 | (生体では効果なし) | — |
| ガラス面緑藻 | オトシンクルス、プレコ | 石巻貝 |
| 水カビ | ヤマトヌマエビ、ミナミヌマエビ | — |
この表を参考に、自分の水槽に発生しているコケに適した生体を選びましょう。
複数の種類のコケが発生している場合は、異なる生体を組み合わせることで、総合的なコケ対策が可能です。
生体別|得意なコケと苦手なコケ
主要なコケ取り生体の特徴と、得意・苦手なコケを詳しく解説します。
オトシンクルスは、ガラス面や水草の茶ゴケ・緑藻を食べる小型ナマズです。
温和で水草を傷つけず、60cm水槽に3〜5匹導入するのが目安です。
得意なコケは茶ゴケ、ガラス面緑藻で、苦手なコケは黒髭ゴケ、藍藻です。
コケが不足するとエサ不足で痩せるため、コケがない場合はプレコフードを与えましょう。
プレコ(小型種)は、ガラス面や流木のコケを食べる大型のコケ取り生体です。
ブッシープレコやタイガープレコが人気ですが、成長すると10〜15cmになるため、水槽サイズに注意が必要です。
得意なコケは茶ゴケ、ガラス面緑藻、苦手なコケは黒髭ゴケ、藍藻です。
石巻貝・カノコ貝は、ガラス面や石の硬いコケを食べる貝類です。
特に斑点状藻に効果的で、時間はかかりますが確実に除去してくれます。
60cm水槽に5〜10匹が目安で、得意なコケは茶ゴケ、斑点状藻、ガラス面緑藻です。
ただし、卵を水槽内に産み付けるため、見た目が気になる場合があります。
ヤマトヌマエビは、糸状のコケに最も効果的なエビです。
アオミドロ、糸状藻、水カビなどを積極的に食べ、60cm水槽に10〜20匹導入すると高い効果が得られます。
得意なコケはアオミドロ、糸状藻、緑藻(糸状)、苦手なコケは黒髭ゴケ、藍藻、斑点状藻です。
大型で目立つため、小型魚との相性が良い反面、繁殖は不可能(幼生が海水を必要とする)です。
ミナミヌマエビは、ヤマトヌマエビより小型で、繁殖も可能なエビです。
コケ取り能力はヤマトに劣りますが、数を増やすことでカバーできます。
60cm水槽に20〜30匹が目安で、得意なコケは糸状藻、緑藻(糸状)、水カビです。
サイアミーズフライングフォックスは、黒髭ゴケを食べる数少ない魚です。
成長すると10cm以上になり、やや気が強いため、60cm水槽に1〜2匹が適量です。
得意なコケは黒髭ゴケ、茶ゴケで、苦手なコケは藍藻、斑点状藻です。
ただし、成長すると人工飼料を好むようになり、コケを食べなくなることがあります。
モーリーは、アオミドロや糸状緑藻を好んで食べる魚です。
ブラックモーリーやバルーンモーリーが人気で、60cm水槽に3〜5匹が目安です。
得意なコケはアオミドロ、緑藻(糸状)、苦手なコケは黒髭ゴケ、藍藻、斑点状藻です。
物理的・化学的な除去方法の使い分け
生体だけでは対処しきれないコケには、物理的・化学的な除去方法を併用します。
物理的除去の基本ツールは、スクレーパー、メラミンスポンジ、歯ブラシ、ピンセットです。
ガラス面のコケにはスクレーパーやメラミンスポンジ、糸状のコケには歯ブラシ、水草の葉のコケにはピンセットが適しています。
週1回の水換え時に、これらのツールで定期的に除去する習慣を作りましょう。
化学的除去には、コケ除去剤、木酢液、グルタルアルデヒド系薬剤があります。
コケ除去剤は、水槽全体に添加してコケの成長を抑制するタイプで、比較的安全ですが効果は穏やかです。
木酢液は、スポイトで黒髭ゴケに直接塗布することで枯死させる方法で、局所的な処理に有効です。
グルタルアルデヒド系薬剤(市販のコケ除去剤の一部)は、強力な効果がありますが、水草の種類によっては枯れることがあるため、使用前に確認が必要です。
完全遮光は、藍藻やアオコ(浮遊性緑藻)に対して非常に効果的な方法です。
水槽を毛布やシートで完全に覆い、3〜5日間光を遮断することで、光合成に依存するコケを枯死させます。
この間、魚にはエアレーションで酸素を供給し、水草は短期間なら耐えられますが、デリケートな種類は避けた方が無難です。
使い分けの原則は、まず物理的除去→生体導入→それでも解決しない場合に化学的除去、という順序です。
化学的除去は水槽の生態系に影響を与える可能性があるため、最終手段として考えましょう。


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